パパママウォーカーをやってみました

パパママウォーカーをやってみました

パパママウォーカーって何?

パピーウォーカーをご存知の方は多いと思いますが、パパママウォーカーをご存知の方はどのくらいおられるのでしょうか。パピーウォーカーは盲導犬候補の子犬を1年間家庭に預かって、子犬が人間社会に慣れるのをお手伝いするボランティアです。一方、パパママウォーカーは盲導犬になる子犬を生む繁殖犬を家庭で預かるボランティアです。

パピーウォーカーは子犬のしつけが大きな仕事の1つですが、繁殖犬はしつけられており、一応の礼儀作法は身につけている点は楽です。盲導犬訓練に合格する犬は半分も満たず結構狭き門です。それだけに繁殖犬は血統が重要視されます。

出会い

一昨年2月からメスである黒のラブラドールの繁殖犬アリアを預かりました。以前パピーウォーカーをしていたこともあり、急遽の預かり先が見つからず、わが家に回ってきた次第です。

来たときは、とりあえず部屋中の臭いをかいで回り、様子が分かると隅に寝そべって、私たちが動くたびに目だけで追っかけ家庭の様子を伺っていました。しばらくすると慣れてきて、歯磨きをすれば足元に来て、風呂掃除をすれば座って見ており、食事をすればテーブルの下で寝そべって、出かけようとすると一緒に行くと言い、帰ってくると必ずお出迎えをしてくれます。

家の中ではいたずらをすることもなく、数時間であれば大人しくいい子で留守番をしてくれます。その代わり帰宅したときには、玄関まできてドアを早く開けろとガチャガチャひっかき、開けると同時に飛びついてきます。ひとしきり私たちの臭いをかいで、どこに行って何をしていたのかを聞いているのです。

パパママウォーカーをしてみた

アリアは筆者が股を広げて仰向けに寝ると、股に入ってきて寝ます。このとき伝わってくる命を味わいながらアリアの顔をまじまじと観察していると、生命の不思議、尊さを感じずにはいわれません。人間どうしでは当たり前すぎてそのような感覚を味わうことはありませんが、犬に癒されるとはそのようなことでしょうか。西郷隆盛は2度目の島流しのあと、人と接することに慎重になり、本心を見せないようになったと言われています。その反動でしょうか、犬を溺愛し、愛犬には良く話しかけていたそうです。きっと人に言えない西郷の本心を愛犬が聴いていたのではないでしょうか。筆者も西郷を真似るわけではありませんが、夫婦仲がこじれるとアリアについつい愚痴ってしまいます。犬はさぞかし迷惑しているでしょう。

男は退職してもなかなか地域に溶け込めない人が多いかもしれません。このブログを読む人は活動的でしょうから、その推測は当たっていないでしょうが。しかし、アリアと一緒に散歩をしていると、犬友ができるんですね。それも声を変えてくる人は女性が圧倒的に多いです。犬を連れている人のみならず、ひとりで歩いている人でも、犬好きな人がけっこう声を掛けてきます。「まあ、きれいなワンちゃん!」。アリアをかわいがり、褒め、いやされた、ありがとうと言って去っていきます。アリアも尻尾を振って大喜び、私もアリアを褒められ嬉しくて、ありがとう言って別れます。アリアに声をかけなくても、頬笑みを投げかけてすれ違う人はほんとうに多いです。こんなときは1日気分がいい。

別れ

パピーにしてもパパママにしても別れた犬とは基本的にもう会えません。犬は過去の飼い主を覚えていて、新しい生活に良い影響を及ぼさないからだそうです。このボランティアをしていると、別れるときはいつも永遠の別れです。別れる前後数日は複雑な気持ちになりますが、それを犬に感じ取られぬようできる限り平静を装うようにしなければなりません。それがまたこちらの気持ちをいっそう複雑にさせます。今アリアとの別れのときが来ました。

この度、アリアには慎重なところ、物事におびえるところがあるということで、繁殖犬には向かないとの判断がなされました。したがって、避妊手術をして、終の棲家にもらわれていきます。2年間わが娘のように接し、わが孫を見ることを楽しみにしていましたが残念です。

アリアを引き取ることも考えましたが、まだ若いためこの先がながいです。犬の寿命は15年から20年くらいと言われています。犬を引き取って一生育てるとなると、私たちの年代ではどちらが先に逝くかを考えなければなりません。あるいは、どちらが先に要介護になるかも重要な要素です。このような事情から引き取ることを見送りました。永遠の別れです。

家族同然に暮らしてきた犬と別れるのはつらいですが、人生に別れは付きもの、別れがあれば新たな出会いがあります。その後、その子たちには新しい生活が始まります。どんな家庭に行くにしろ、しあわせな一生を送るだろう、そう考えると寂しさは和らぎますが、哀愁を感じずにはいられません。

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