子どもの頃に楽しんでいたことをもう一度

子どもの頃に楽しんでいたことをもう一度

48歳で音大へ入学

私は夫の転勤に帯同して、東京から関西へ引越をしましたが、関西には親戚も知人もなく、そこでの子育てや介護に大きな不安を抱えていました。

何故なら、テレビで視ていた明石家さんまさんやKinKi Kidsさんなら、言っていることは分かりますが、関西へ来て、ヒアリングが案外出来ないことがわかったのです。
電車の中で、関西の方の話す言葉が全て「ヤーヤーヤー」としか聴こえてこないことに気づき、精神的におかしくなったのかと思ったほどです。

私は「ヒレ肉」と言いますが、関西では「ヘレ肉」です。
単語も少しずつ違うのですが、イントネーションが違うことで聞き取れませんでした。
「国語(こくご)」は関西では「く」を高く発声します。
大概3文字の単語は真ん中の一字が高く発音されます。
聞き取れないから、「え?なんですって?」となる。

例えば、スーパーで「おしるしでいいですかぁー?」と聞かれました。
「え? おしるし?って何?」と一瞬分からないので、聞き返すと、
とても先方が怯むのです。

そして、レジの方が「あのぅ、おしるしで、あ、シールでいいですかぁ?」と怪訝そうになり、こちらも少し分からなくて焦っているので、「え?あ、シールね。ええ、シールで結構です。」と幾分冷たい感じになってしまいます。
たかが、スーパーで品物を購入し、袋詰めせずにシールで良いかと聞かれただけなのに、お互いにコミュニケーションがギクシャクしていました。

歯医者さんに通っていて、先生が、「今日はこんなとこで終わっとこかぁ?」と患者の私に聞くのです。
困ります。そんなこと聞かれても分かりませんと思っていたら、この「終わっとこかぁ?」と語尾は上がるものの、こちらに聞いているわけではないと感覚的に迷わなくなるまで、一年はかかりました。

今思い出せば、全てが笑い話です。
しかし、その頃の私にすれば、土地に慣れることに必死でした。
皆さんも、歳をとってからの転居の経験された方は、似たような想いをされているのではないでしょうか。
行った先が悪いわけでも、自分が悪いわけでもないのだけど、単純に不慣れで、コミュニケーションが難しくなることがありますね。

私はそのような中で、子育てと介護をしていましたが、自分の楽しみを見つけないといけないなと思い、転勤を機に仕事もしていなかったので、習い事をすることにしたんです。
小学生の頃から合唱部で高校までは全国のコンクールで優勝を狙うような厳しい訓練をしていました。
ピアノも幼い頃から高校卒業まで習っていました。
音楽は好きでしたが、社会に出て、結婚、仕事としているうちに、好きだったことを忘れて暮らしていました。
子育てしながら、多少声楽を習ってきてはいましたが、特に何がしたいという夢も目的もありませんでした。

思い立ち、40歳代になっていた私は声楽の先生を探して関西でも個人レッスンを受けるようになりました。
習っている教室での発表会があり、それが不安過ぎて、私は妙なことをしたのです。
今考えると本当に妙なことをしたのですが、発表会の予行練習のつもりで国際コンクールの予選を受けたのです。
声楽部門で音大を卒業していなくても受けられる部門があり、また年齢制限もなかったかと思います。
歌の教室の発表会は先生や生徒仲間に聴かれるから下手なら恥ずかしいけれど、国際コンクールの関西予選なら、知ってる人もいるはずもなく、どうせ落ちるのは分かっているし、恥ずかしくもない、という気持ちでした。
ところが、結果は予選で入賞してしまい、本選に行くことになりました。
本選では、モーツァルトのオペラ『フィガロの結婚』から「恋とはどんなものかしら」というアリアを歌ったのですが、その歌詞を途中で数小節出てこなくなり、失敗してしまいました。
極度の緊張はあったとはいえ、満足いく演奏が出来ず、残念でした。
それでも本選入選ということだけはいただき、関西に戻ってから、コンサートにも出演させていただきました。
本選で成功していたなら、もしかしたら入賞したのではないかという、欲望が出てきて、残念でならなくなりました。
そんな時に、本選入選者には、大阪音楽大学への入学許可されるということをきき、悔しさをエネルギーに、48歳で音大へ入学させてもらいました。
短大で2年間、子どもと同じ世代の学生たちに混じり、専門の声楽の他も、イタリア語、ドイツ語、ピアノ、作曲、音楽理論、ソルフェージュなど、昔とった杵柄のガリ勉を発揮し、大人げない優勝な成績で卒業しました。
子育ても介護も両立出来たのが不思議なくらいです。
写真は、卒業の時に、「同級生」たちと撮ったプリクラです。
バカなことをと笑われるかもしれませんが、今更ながらの青春を味わいました。

音大も少子化で、生徒数が揃わなくて困っている大学もあります。 正式な入学ということに拘らなければ、社会人入学というコースを儲けている所もありますので、今更音大なんて無理だと諦めずに、問い合わせてみると良いです。
大学での学びは、音楽教室とはまったく違う厳しいものでした。
若い学生の「三途の川が見えるまで練習する」という言葉を良く聞きましたが、本当に音大生は遊びません。アルバイトもあまりせずに、日々練習している学生が殆んどでした。
大人が入ったとしても、皆さん真剣に学んでいるので、そんなに違和感は感じませんでした。

卒業後は恐る恐るコンサート

卒業してからは、音大の頃に出来た人間関係で、コンサートなど企画したり、ボランティアで施設に呼んでいただたりして、場数を増やしていきました。
お客様の前で演奏してこそ、実力が付くので、頑張って活動を増やしていままし。

コンサートから音楽劇制作へ

コンサートを細々と続けていくうちに、脚本が書ける知人がいたことから、初めは朗読と歌で、そのうちに、芝居と歌で楽しんでいただく舞台を創るようになっていきました。

コンサート企画とうた芝居公演へ

誰も知人がいない関西に来て13年のうちに、私は音大を出て、多くの歌い手や演奏家とも知り合いになり、コンサート企画や音楽劇(上方うた芝居と称して、関西でやっています。)の出演だけでなく、プロデュースをするようになりました。
会社にした方が、組織として信用が上がるということで、株式会社夙川座を立ち上げました。
音楽やエンターテイメントは儲からない商売の最たるものではありますが、私たちは、楽しく誠実にやれれば、それでよいと思っております。

歳をとってからでも、何か出来る

私はたまたま幼い頃からやってきた音楽を再度真剣に取り組んだことで、自分が本当に楽しく苦労出来るものを見つけられました。
仕事というよりは、最大の趣味です。
若い時は、好きなことよりも、社会人として通用するのかということが大きく心を占めていましたから、好きなことだけをやれる状況にはなかったように思います。
偏差値の良い大学、有名な会社、社会的に立派な人との結婚。
そんなことを第一に考えないといけないようなプレッシャーがありました。
それらを概ね手に入れて、ふと、心が寂しく、何も無いと感じるのが中年期です。
学生時代に真剣に楽しんで頑張った事をもう一度再開し、さらに花開かせること。
50歳代はこうゆうことが出来る時期かと思います。
無理なく、自分なりでよく、自己満足で良いわけです。
まだまだ気力体力ある年代の皆さん、ご一緒に頑張りましょう。

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コメント

  1. ふみえさんへ

    はじめまして。
    まずは、わぁ…(ひたすら溜息)。
    ふみえさんのトピックを拝読して、感嘆の余り溜息が漏れました。

    ただただリスペクト、
    私はまだまだ頑張りが足りない、まだ自分はがんばれるんだ。
    ふみえさんのパワフルな生き方に、
    私は反省の機会と次に向かう勇気とを戴いた想いです。

    もっともっとがんばります。
    本当にありがとう。

    最後に。冒頭のプリクラ画像ですが…
    すっごくかわいいふみえさんのお姿にさらに溜息。
    素敵…かわいいし、なんか幸せそう♡

    お若い皆さんとこうして同じフレームに収まるのもとっても楽しそうですね。
    私はコスプレしてのセルフィー専門wですが、
    プリクラにもチャレンジしてみます。

    改めて…
    幾つになっても興味のある事ややってみたいことに挑んで大丈夫なんだ。
    そんな当たり前のことに、しかし真摯に考えるきっかけを頂戴しました。

    前田穂花

  2. 前田穂花さま
    恐縮です。
    読んでいただき、ありがとうございます。

  3. 前田です。
    ふみえさんの「関西に引っ越されてから言葉の壁を感じる」というきっかけから。

    音大進学はじめ、
    その後紆余曲折を経て…ご自身の手でオペレッタの上演を企画、
    ステージを成功させる…というサクセスストーリーがパワフル過ぎて。

    言葉が出ないほどです、カッコよすぎてもうただただリスペクト。

    何より娘さんくらいのお年頃の同級生の皆さんとのプリクラ画像が…
    拝見させて戴く私にまで楽しい感じが伝わってきて、心射抜かれます。

    リクエスト。
    きっとプリクラ修正のないお顔もとても魅力的なのだとお察しします。

    人生の先輩として尊敬申し上げ続けたいので、
    ぜひともアイコン画像にアップされてくださいね。
    期待しています。

    前田穂花

  4. 暖かなコメントをありがとうございます!

  5. 兵庫のディーヴァ・ふみえさんからお返事コメントだ♡
    ありがとう♡

    歌姫もどうぞ「スロハピ美魔女組」にご参加ご参戦の程、
    お待ち申し上げています。

    マジバナとして、ふみえさんのお顔から…
    毎日充実させていらっしゃるご様子が滲み出ているようで…
    拝見していて私まで心が満たされていく想いです。

    ふみえさんに、みーさんに…
    兵庫の女性は素敵な方揃いだな。
    あたしも肖りたい♡

    そういうことで今、神戸を代表するブランド、
    クレイサスのバッグを買おうかな。
    …そう本気で楽天市場をリサーチ中です。

    私も素敵な女性を目指すべく、
    まずは形から入ろうかな?と思って…w
    クレイサスの特徴的なカメリアのロゴも好きなので♡

    楽しいことがいっぱいあるんだから…
    脳梗塞なんぞで腐ってる場合じゃないな、
    まだまだがんばります。
    穂花

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