老々介護と認々介護について考えてみる

老々介護と認々介護について考えてみる

還暦を過ぎると、両親の介護や自身の老いの問題が、さすがに他人事とは言えなくなります。我が身を振り返っても、妻も私も父親は既に亡くなっており、現在78歳の妻の母親は特養に入所、88歳の私の母親は、地方の旧家に生まれて同じく旧家に嫁ぎ、故郷の古い広い家で、家を守って独りで暮らしています。
誰もが当事者として関わる可能性があるこの両親の介護と、自身の老いの問題について考えてみます。

老々介護とは

65歳以上の子供がさらに高齢の親を介護するなど、65歳以上の高齢者を、同じく65歳以上の高齢者が介護している状態を言います。厚生労働省の2013年版「国民生活基礎調査」によると、在宅介護している世帯の51.2パーセントが、こうした老々介護の状態にあるそうです。

認々介護とは

認知症の要介護者を、同じく認知症の介護者が介護している状態を言います。2010年に山口県が実施した調査と推計によると、山口県内で在宅介護を行っている世帯の10.4パーセントが、認々介護の状態にあるとの結果が出たそうです。
こうした状態は、事故が大変起きやすい危険な介護状況の一つと言え、非常に憂慮すべきことと思います。尤も、そもそも認知症自体が要介護状態を招く原因の上位に入っていることから、老々介護と認々介護は相関関係にあるとも言えるのですが…。

老々介護、認々介護の問題点

高齢になるほど、体が思い通りには動かなくなりますから、高齢の介護者の肉体的な負担が大きいことは想像に難くありません。さらに、精神的な負担も小さくないことから、そのストレスが被介護者への虐待行為に結び付く恐れもないとは言えません。また、介護者自体がそもそも高齢なことから、やがて精神的にも肉体的にも限界に達し、介護者本人も第三者のサポートがないと生活できない状態になることも当然有り得るでしょう。強いストレスが、認知症を引き起こす原因になり易いという研究結果もあり、このことも、老々介護は認々介護に陥りやすいと考えられる裏付けの一つと言えます。
認知症になると、記憶障害や判断力・認識力が低下し、食事や排せつなどの必要な世話をしたかどうかさえ、介護者本人にもわからなくなってしまいがちです。電話代や水道光熱費の支払いなど、生活環境を維持できなくなることも想定され、金銭の管理が曖昧になると、詐欺のターゲットになる恐れもあります。

老々介護、認々介護が増加した原因

それでは、こうした老々介護や認々介護は、どうして増加しているのでしょうか?
まず第一に、平均寿命と健康寿命の格差が考えられます。医療の進歩で、日本人の平均寿命は年々延びている反面、健康寿命との差が目立つようになりました。この健康寿命と平均寿命の差の期間が、そのまま要介護期間とも考えられます。
次に、核家族化の問題も避けては通れません。核家族化の進展により、中には子供の世話になるのを情けないと考える人もいるかも知れませんが、一般的には子供に助けを求めにくくなり、高齢夫婦間での老々介護を余儀なくされがちになっています。
一方で、他人に助けを求めることに抵抗感を持つ人の存在も否定はできません。殊に、忍耐が求められた戦争を経験している世代は、他人に助けを求めることに負い目を感じる傾向が強いように思われます。

まとめ

老々介護や認々介護の問題は、如何に周囲の人に状況を把握してもらうかどうかが最大のポイントと考えます。他人の世話になったり、家族を施設に入れたりすることに罪悪感を覚える人もいらっしゃると思いますが、そうした意識こそが介護を危険な状況に追い込むと認識すべきでしょう。
高齢化と核家族化が進んだ現代社会では、他人や行政の助けを借りなければ、健全な介護は行えないと言っても過言ではないのです。困ったときは独りで抱え込まずに、子供や兄弟、親戚、そして行政などに相談するのが、最善の大切な手立てであることを理解しましょう。

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