■ Lifework 天然繊維と共生(ともいき)

■ Lifework 天然繊維と共生(ともいき)

■糸偏の仕事 繊維の話 

「染色」「染織」sensyokuを 耳で聞くと同じ音ですが、漢字で書いて目で見ると意味が違ってきます。長々糸偏の”仕事”をしています。時に化学染料を使って、ある時は植物染料を使って、木綿・麻・羊毛・絹の糸を染め、”織機”に掛けて布にします。染織の工程です。前出の「染色」は白生地を染める仕事です。仕事にしている人を「染色作家」あるいは「染織作家」といいます。

羊毛(wool)
長々・・・・というのは「羊毛」だけとってもその品質が順次年代とともに変わってしまったということです。勿論工業製品ではないので個体差やその年の気候での変化は致し方ありませんが、懇意にしていた「糸や」は廃業になり、どちらかというとまぁまぁの方が残っていきました。

初期に織った布地は縮絨(湯を通して仕上げ)が終わると自分の力だけでここまで風合いの良いコート地が織り上がったとは思えませんでした。糸が助けてくれたと感謝しました。その後年々ウールの糸には明らかに弾力がなくなりコート生地としては用を足さなくなりました。

木綿(cotton)
木綿糸も「単糸」と言って撚りが片方だけの糸は単価も安く得意とするガーゼのような布が織れる糸はどこを探しても手に入らなくなってしまいました。経糸が擦り切れそうで息を止めながら一本一本、緯糸打ち込むさまはスリリングでした。

カシミヤ(cashmere)
某メーカーが従来の半額程度で”カシミヤセーター”を売り続けました。安価にカシミアセーターが着れることは幸いですが天然繊維は動物に頼り植物繊維は季節にそって収穫します。

いつしか冬のストールもカシミヤが当然となってしまいました。私の織るストールは細番手の繊細なウールを多色で幾重にも重ねて織ります。貴重なモスリン(ウールの細番手で織った布)は死語になってしまいました。

ヤク(yak)
ところが・・・別の某メーカーが今年からヤク(yak)の毛をメリノウールとブレンドしたセーターを開発しました。ヤクは標高4000~6000mのチベット高原に住んでいるウシ科の動物です。チベット族の生活を支えるライフラインです。かたい毛をロープやテントにミルクはバターに肉は蛋白資質です。何より背中に重い荷物を載せて運んで移動する大切な動物です。

今年開発された混率20%と30%のそれぞれ違った編み方のセーターを早速、恐る恐る試して着ています。カシミアに比べ ①毛玉が出来にくい ②通気性が高くかつ保湿性も高い ③滑らかで柔らかい・・・説明書では良いところばかりです。

今年は糸を買って試し織るまでには至りませんでしたが、このセーターを散々着て洗って(仕事柄ウールはほとんど手洗いです。)驚きました。
チベット高原の草原・ツンドラ・岩場に生息するヤクの毛には洗毛して紡績しても残った毛に付着した細かい土が茶色の水になって流れ落ちました。思わずチベット高原に思いを馳せたのです。

来年は多くの作家がヤクに取りつかれず、ほどほどに共生して織ったり、編んだりして欲しいと思います。たかが”セーター”されど”セーター” セーターにもドラマがあります。

麻(リネン・ラミー)
植物繊維は多くの種類があります。近年、麻=リネンと思われるほど夏は木綿に取って代わって多くなりました。台所の布巾(hukin)は、キッチンリネンと呼ばれています。苦言を申せばリネンは、ヨーロッパの乾燥した気候に最適です。日本の高温多湿の台所には手拭いの布巾が清潔かもしれないと老婆心。

私はウールとリネンを経糸×緯糸(経緯と書いて話のikisatsu)と交織した布を織って通年使えるストールを考えて両方の特性を引き出せる布を考えたりしています。現在の課題です。

そこで織歴ウン十年これには定年退職がありません。目や手は押しどころ控えどころ様々な知恵がついて左程不便ではありません。織ることは孤独な作業ですから向き不向きもありますが、幸せなシーンもいっぱいありました。特に女は一生続ける作業(llifework)を一個持つと良いかも・・・・知れない。

まとめ
女性が外で働く市民権も得た時代でもありました。水目桜の機織り機は使い手がいなくなると「キャンプファイヤーでもして私の事を語って貰うといいかもしれない・・・・」と密かに思っています。

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