きっかけ。

きっかけ。

始まり。2

今回は「経緯。」の前に、背景をお話ししたい。

後輩の○子は、高校時代に知り合い、慕ってくれていた。
気の利く子で、後輩に慕われることの少なかった私には珍しい後輩だった。

部活のマネージャーになってくれ、日々話すようになり、いろいろな相談に乗っていた。
部長だった私にとって、非常に有り難い存在だった。
普段から相談に乗っていたが、いつも危なっかしい気配があった。

所謂リストカットをする子だった。
悩み、苦しみ、リストカットをし、生きてる実感を感じる。
そんな彼女を見ていられなかった。

しかし、気持ちはわからなくない。
ここからは少し私の体験をお話ししようと思う。

私は小学生時代、いじめに合い、小学生ながら毎日死にたいと思っていて、飛び降り自殺の夢を何度も見ていた。
飛び降り自殺の夢を見て、落ちるから起きるのではない。
夢で、飛び降り自殺を何度もし、なぜか死ねない。
「なぜ死ねないんだ!」と思い、何度も繰り返す。死ねないことが苦しくて、目覚める。

一度、考えてみてほしい。
小学生が、夢で飛び降り自殺を繰り返し、死ねないから起きる。
これがどれだけの非常事態かを。そんな子供がすぐ近くにいるかもしれない。
少しのきっかけで救われる可能性がある。声をかけてあげるだけでも良いかもしれない。
下を向いて歩いている子供がいたら、挨拶を交わしてみるのはいかがだろうか?

親に相談したこともなければ、学校を休んだこともなかった。学校に行かないことが負けたようで悔しかった。
担任は知っていたが、他のいじめられている女生徒を助けることはあったが、私が声をかけられることはなかった。
いじめられている女生徒のいじめについて、クラスで説教され、考える時間が設けられる。
その時間、どれだけ気持ちを抉られたことだろうか。救われることがない数年間。まさに生き地獄。

小学校を卒業し、いじめは終わっても、中高学生頃までいろいろあり、学生時代は常に生きることが非常に苦しかった。
私の場合、自傷行為に走るわけではなく、死ぬことが怖くない、むしろ望んでいるような行動をしていた。
死を恐れないという意識は、いろいろなことに対して注意しなくなり、無茶をする。
少し荒れた頃、死ぬかもしれないというスリル感が生きる実感だった。死ねたらラッキーという心境だった。
非常にネガティブだったと思う。

学生時代というのは、大人が予想するより遥かに世界が狭い。
そして、私の経験上、子供に向き合おうとする大人に遭遇することは、奇跡に近い。
学生時代、大人を信用するということは、あり得ないという感覚だった。

○子もそんな子供の一人だったと思う。
○子の親はシングルマザーで、アジア系。母のパートナーは度々変わっていた。
家に居場所はなく、いつも外で夜中まで過ごす。補導されそうになったら逃げる。捕まり怒られる。
家に帰れば、家にいる見知らぬ男性に、度々叱られることがあった。
どれだけのストレスがかかったことだろう。

私も家族が寝た後に帰り、昼過ぎまで寝てから学校へ行き、夜中まで外で過ごすことが多かった。
会う約束をしていなくても、夜中に遭遇することも度々あった。
会うたびに相談に乗っていた。

リストカットを辞めてほしくて、いろいろな言葉をかけた。
夜中に、公園でリストカット。辛いことがあればいつもリストカットをしていた。
泥酔して帰れないから手伝ってと、○子の友達から連絡が来ることも度々あった。
連絡をくれる度に、夜中でも会いに行き、話しを聞いた。
家まで送ることも度々あり、母親のパートナーらしき男性に、怒鳴られることもあった。

その男性は、連れて帰るといつも怒っていた。
「何時まで連れまわしているんだ。酒を飲ませたのか。何を考えている。いい加減にしろ。」
何も知らない大人は、理由も聞かず、ただ叱る。
愚行だと思う。私はむしろ事が終わった後に送っていただけだ。

そんな大人に、私はいつも懲り懲りしていた。
むしろ私が「いい加減にしてくれ。」と言いたかった。
あなたのような大人のせいで、どれだけ○子が苦しんでいることか。

数年先に生きただけの私に、出来ることなんてただ寄り添うことだけだった。

そんな高校時代を過ごし、○子のリストカットの回数も減っていた頃、私が卒業した。
卒業シーズンだった頃、○子から告白をされた。
今思えば、そりゃそうだったのかもしれない。通常は、付き合うのかもしれない。
ただ、私は断った。
可愛がっていて、助けたいという思いも強く、傍にいてあげたかったが、○子は妹のような存在だった。
恋愛対象としては見れなくなっていた。非常に残酷なことをしたのかもしれない。
しかし、○子は、断られることをわかっていたようで、気持ちだけでも伝えたかったんです。と笑顔で言っていた。

卒業後、会う機会は減っていたが、定期的に会うようにはしていた。やはり心配だった。
しかし、○子はリストカットの回数が随分減っていた様子で、笑顔の回数が増えていた。
私は少し安心していた。
そんな時、○子から嬉しそうに電話があった。
「先輩、私彼氏が出来たんです!」
年上で、優しい男性だと。
私は、これで「大丈夫!」やっと○子が幸せになれる。
彼氏に悪いから、連絡を控えようと思った。

これが私にとって、気付かぬ間に犯した、最大の「油断」だった。

次回、やっと「経緯。」

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コメント

  1. 読み進めながら…正直つらかったです。

    アラジンさんと同じ経験も負いつつ、私は…
    鬼籍に入られた後輩さんともほぼ似たような境遇にあったので…

    現時点でもいろんなコメントは差し上げられます。

    ただ、軽はずみなコメントをできそうにはなく、
    テーマとして上滑りな言葉でここに感想を書き残したくはないので。

    この「きっかけ」というトピックについて。
    最後まで読み通してから感想を述べさせていただきたいと考えています。

    読んでいる私がここまで追いつめられる想いに至るので…
    実際にライティングされているアラジンさんは心中如何程でしょう。

    どうぞ無理はされずにマイペースで書き進められますよう。

    月並みですが憶えてお祈りしています。

    前田穂花

  2. 追記です。

    ここでお若いあなたとこのような深いテーマについて、
    お話する機会を得られたことに対して…
    私は心から感謝しています。ありがとう。

    アラジンさんと後輩さんの上に起きた諸々について、
    投稿されたトピックを通して追体験するのは…
    正直…重た過ぎて私にはハードですが。

    この切ない感じややりきれない感情をも分かち合いつつ、
    お互いに昇華させて次に繋いでいけますように。

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