認知症の母が気付かせてくれた事

認知症の母が気付かせてくれた事

人の一生には限りがあります。

写真の花は「ミヤマオダマキ」亜高山の植物です。薄い黄色とうつむいた形がとても可憐な花です。山野で花を見るのが趣味です。

認知症のわたしの母は、今はグループホームで暮らしています。穏やかな日ばかりではありませんが、スタッフさんや他の入居者さんと毎日過ごしています。暖かく安全な場所と栄養のある食事を頂いて、ありがたい事です。
母は昔は企業で働くキャリアウーマンでした。今では働く主婦は珍しくありませんが当時は稀な方でした。おしゃれで明るく少し毒舌家でしたが、友達から「Sちゃんのお母さんは奇麗でいいね!」と羨ましがられるのがちょっと自慢でした。リタイア後は色々な趣味の活動やアルバイトをしたりしていました。
わたしたち家族と登山や旅行も沢山行きました。わたしは、楽しい時間が当たり前でずっと続くと思い込んでいました。
母の認知症が分かり段々進んでいく状態を見て、初めは受け入れられませんでした。悲しくて情けなくて会いに行く度に辛くなりました。あんなに活発だった母がどうしてこんな風になったのと。

ある日、日帰り温泉に連れて行った時のこと。身体を洗ってあげて湯舟に入れてあげた時「昔もこんな事があったなぁ」元気な時に登山の帰りにみんなで寄った温泉の事が思い出されました。涙の顔を何度もお湯で流しました。
ホームに帰り「お水置いていくから飲んで」と声をかけると「お水より一万円札の方が嬉しいのに」(認知症だけどこういう事はスラスラ言えるんです)
その言葉で我慢していた気持ちが一気に噴き出し、帰宅後すぐにシャワーを浴びながら大声で泣きました。我が親だから余計に情けなくなるんですね。しばらくは面会にも行けませんでした。

今、わたしは正社員でフルタイムで働いています。子供も社会人になり、働く目的は老後に子供に迷惑を掛けたくないから、経済的に少しでも余裕を得たいからです。幸いなことにわたしは親の介護で経済的な負担はありません。

職場は非常にストレスフルです。やりがいもありますが理不尽な事、納得いかない事、信頼できないボスについていく不満・・・。もう辞めたいけど次に働く場所があるのか?新しい職場が必ずしも良いとは限らないし。転職の悩みを約1年間抱えていました。

先日ふとした事で「わたしはこんな事で悩んだり、イライラしたり、不安になったりしている場合じゃない!老・病・死は人間の真理。あの活発だった母も現に認知症と共に生きている。人の一生には限りがある」
不思議な事に、母の顔がぶわーんとすごい勢いで浮かびました。

わたしも既に人生の折り返し地点は越えました。一番大切なものは「時間」なんですね。今どんな時間を過ごしているか。イライラして落ち込む時間より好きな花を見たり良き人達と交流したりする時間にシフトしたい!

翌日退職届を出しました。慰留の隙も与えずかなり力強く(笑)認知症になった母のお陰かもしれません。

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