自宅で看取りたいなら、救急車の前に主治医に電話

自宅で看取りたいなら、救急車の前に主治医に電話

在宅医療

自宅に訪問してくれるお医者さんが増えて、最期まで自宅で過ごせる環境がほんの少しずつですが整ってきたように感じます。

以前にマインドマップを使って、お医者さんだけではなく、訪問看護師、ケースワーカー、介護士、薬剤師、みんなで地域の困難な具体的な事例の検討しながら研修をする場面を見学したことがあります。

さまざまな職種の人が一つのチームとなって動いていることを知って、他人のことをこれほど考えてくれる人たちがこの地域にいるのだと思い、安心して嬉しくなりました。

以前、認知症の父の時、病院から、もう治療することはないから退院して介護施設へ戻ってほしいと言われました。病気なら治療してほしいし、治って施設へ戻ってくれと言うなら書類を出して欲しいという施設との間で板挟みになったことがあります。それぞれの立場はなんとなくわかりますが、言われる家族は重い気持ちになりました。

病院は病気を治すところで、介護のプロがいるわけではないので、手がかかる認知症患者の入院を嫌がっているように思います。認知症を患っている人は、人から好かれているのか邪険にされているのかはわかります。より敏感に感じとると言った方が良いのかもしれません。父は、自分がちゃんとしているかどうかの基準を、相手の態度ではかるところがありました。

施設では笑みを絶やさない介護のプロが対応しており、多少手を煩わせることはあったと思いますが、普通に暮らせていました。体調が悪くなって入院すると病院では問題を起こす要注意人物として扱われ、入院拒否をされることもあり困りました。

看取り

2019年9月、『みとりし』という映画が全国で公開されました。看取りという言葉をよく聞くようになっていましたが、一般社団法人の看取り士は、以前は介護ヘルパーの資格か看護師の資格がある人向けのものだったように思います。

日本看取り士会のホームページを見ると、現在は、医療や介護の国家資格を持っている方は、基礎知識がありますから、看取り士として登録をして相談や対応を行えますが、一般の方は、数日の研修で資格が取れたからと言って、すぐに単独で看取り士を名乗り、活動することは出来るわけではなく、90時間、所定の経験を積んだのちにに相談対応ができるようです。

看取りという言葉が聞かれるようになったのは、まず、2015年の介護保険法の改正で在宅医療と、介護の連携の推進で、地域の立場の違う医療関係者が一同に集まり検討会を開くなど、地域と医師会が積極的に動き始め、支える仕組みが整いはじめた頃かと思います。

2018年の介護保険法の改正により、見取りやターミナルケアなど、在宅医療を支えるしくみが変わったとき、映画の公開もあって、自宅で介護する人はもちろん、高齢者施設にも休日や夜中などの突発的に体調を崩した時の対応をしてくれるお医者さんがふえましたし、インターネットで訪問してくれる医師が探しやすくなってきました。

看取りは、本人と家族の両方が自宅での看取りを望んでいて、在宅の医師と訪問看護師の医療チームがあること、十分な食事入浴排泄などの介護体制が整っていること、医療と介護の両方が24時間体制となって、初めて可能になります。

今も、自宅で介護されている人の心配や労力は計り知れませんが、それでも、夜や休日にも対応してくれる医師がいることや、余命宣告されてターミナルケアと呼ばれる終活をされている時に相談できる看取り士のような方々がいること、自分がその知識を学ぶことができるようになったことは、一人で不安と恐怖を抱えていた以前とは大きく異なると思います。

自宅だけではなく、施設での看取りも可能になっています。退院を迫られたり、受入れ先を探すことに時間を取られず、家族の心配だけできる状況は、死と向き合う家族の負担を軽くしてくれていると思います。

救急車を呼ぶ前に決めておくことと、たまにしか来ない親戚に注意すること

自宅で介護をしていて、家族で、自宅で看取りをしようと決めている方は、主治医もしくは訪問看護師さんとの連携を密にして、何かあったときにどこに電話をしたら良いのか決めておいた方がいいのです。

救急車を呼ぶと、救急隊員は人命を助けることを優先し、病院まで心肺蘇生措置を行います。

気が動転して救急車を呼んだ後に、延命治療を行わないことを思い出して、心臓マッサージを救急隊員に止めるように言うことはなくしたいです。実際にそう言うケースが増えていると聞きます。

救急隊員は、人の命を全力で救うためのプロであり、信念を持って働いています。延命治療を行わないと決めているなら、救急車は呼んではいけません。

やめてくださいと言われても、はいそうですかとは行きません。救えるかもしれない命を救わないでくれと言われても、来てしまった以上、後からトラブルになっても困りますし、延命治療を施し、病院へ搬送されることが原則です。救急隊員もそうですし、搬送先の救急病院でも同じです。

穏やかに、家族に手を握られながら、静かに旅立ちたいとの希望がはっきりしているのであれば、主治医をしっかり決めて、何かあったら救急車ではなく主治医に連絡しましょう。

それと、すでに心臓が止まって亡くなっているケースも考えられます。この場合も、主治医ではなく救急車を呼んでしまうと、救急隊員は心臓が停止していることを確認すると警察に電話します。事件性がないか調べるためです。何人もの警察官が家に来て、遺体は家族と引き離されて調べられます。司法解剖や検視などと言うことにもなりかねません。

主治医であれば、病状を十分に理解していますので、死に不審な点がないことを確認して、死亡診断書を書いてくれます。必ず、主治医に連絡しましょう。

最期が近いと、いつも介護している家族の他に、ほかの親戚がいる場合があります。そのときには、慌てて救急車を呼ぶことがないよう事前に説明しておいた方がいいでしょう。

親戚によっては、苦しくてかわいそうだから病院で入院した方がいいに決まっていると価値観が違う人がいます。こういったときにエンディングノートがあると本人の意思が確認できるので便利です。

そういう人は、何かあった時に、救急車を呼んでとりあえず処置をしてもらって、医師の説明を聞いてから、どうにもならないと説明されたら、その時に初めて延命治療するかどうか選択すれば良いんじゃないか、それができると勘違いしている人もいるのです。

それと、救急病院でどこまで治療するか聞かれた時に、できる限りのことをお願いするといろんな管がついてしまった状態になる事もあり、それもまた本人が望む最期の姿なのか疑問です。

主治医と本人と家族が納得して自宅での看取りを希望するのであれば、このような点を注意すると良さそうです。

救急車で運ばれてニコニコ自宅に帰ってこられるお年寄りもいますので、絶対呼ばないほうがいいというお話ではありませんので、その辺りは勘違いなさらないようにしてください。

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