糖尿病

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血糖値は下げれば下げるほどいいの?

糖尿病は慢性的に高血糖が持続する病気と言われています。国内の糖尿病有病者数は約950万人いるといわれています。
糖尿病の治療は、慢性的な高血糖を、空腹時血糖や随時血糖、ヘモグロビンA1cなどを、指標にしてコントロールし。糖尿病によって引き起こされる種々の血管合併症などを抑制することを目的としています。
糖尿病の治療は、皆さんご存知の通り、食事療法 運動療法 薬物療法が中心となります。基本、初診の患者さんや、境界型、血糖コントロールが良好で、維持できそうな患者さんに対しては、食事療法 運動療法を行います。
しかし、それでも、改善の見込みがない場合は、薬物療法が開始されます。薬物療法は、内服剤、注射剤であれ、作用機序は様々で強弱はありますが、血糖を効果させる作用があります。

 糖尿病の治療目的は、慢性的な高血糖を改善し、正常血糖値に近づけば、近づけるほどいいことになります。

私も糖尿病を専門に勉強するまでは、そう思っていました。患者さんが、食事療法や運動療法をがんばり、ヘモグロビンA1cが、低ければ低くなるほど、患者さんを褒めた記憶があります。
ここで、一つの疑問ですが、果たしてそれで、いいのでしょうか?
糖尿病降下薬を使用して糖尿病の治療を行う時には、血糖値が正常値より下がりすぎて「低血糖」が起きることがあります。

低血糖とは

血糖値が平均値で 68mg/dLまで下がるとグルカゴンなどの拮抗ホルモンが分泌され始めます。さらに 53mg/dLまで下がると、発汗、手足のふるえ、からだが熱く感じる、動悸、不安感、吐きけという具体的な症状が出てきます。これらは血糖値の下がり過ぎでひき起こされる自律神経の症状で、血糖値低下に対してからだが発する警告信号なのです。
 この警告信号が出る範囲を越え、48mg/dL以下にまで血糖値が下がると、集中力の低下、取り乱す(医学用語では錯乱といいます)、脱力、眠気、めまい、疲労感、ろれつが回らない、物が二重に見える、などが起きてきます。これらは中枢神経の症状で、ブドウ糖の欠乏により脳細胞が正常に活動しなくなりつつあることを示すものです。
 この状態になっても糖分をとらないでいると、さらに進行して意識障害が起こり、自分がどこにいて何をしているのかがわからなくなり(指南力の低下)、患者さん本人ではどうすることもできなくなります。さらに進むと低血糖昏睡に陥り、最悪のケースではそのまま死に至ります。
                       

低血糖の対処方法  

低血糖の症状があらわれたら、まずブドウ糖(なければ砂糖)を口にすることです。このとき、余裕があれば血糖値を自分で測り、低血糖であることの確認をしましょう。 ブドウ糖を10~15g飲み込み、しばらく安静にしています。15分ほど経っても回復しない場合は、さらにブドウ糖を同量追加します。低血糖症状が改善しない時は、病院を受診しましょう。
このように、低血糖は対処方法がおくれれば、死に至ることもある怖いものです。
低血糖が体にどの程度悪影響を与えるか、その厳密な結論は出てないそうです。
しかし、度重なる低血糖が悪影響を及ぼしている可能性が強く示唆するデータが報告されています。
意識障害を起こすような重症低血糖があると、そのような低血糖がない症例と比較して、主要血管イベント(脳卒中・心筋梗塞・慢性心不全)のリスクが、1.9倍、心血管死のリスクが3.7倍、総死亡に至っては6.4倍まで上昇することが報告されています。(VADT試験より)
他にも、頻回の低血糖は、認知症になりやすいなどとの報告も聞いています。

血糖は下げれば下げるほど良いとはいえない

また、これまでは、糖尿病で合併症をおこさないようにするためには、HbA1cが低ければ低いほどいいと言われてきましたが、2016年に、日本糖尿病学会が発表した目標値は、血糖コントロー65歳以上の高齢者について、よりきめ細かく目標を設定したことが特徴となっています。

最近の糖尿病治療の方針

 高齢者を年齢や健康状態、治療内容などで区切り、個々の患者に合わせて安全かつ効果的に糖尿病の治療を行えるよう工夫されています。
これらから、「血糖値をコントロールする上では、ある程度の低血糖はつきものだ」という考えかたではなく、「低血糖に最大限留意しつつ、血糖をコントロールする」ことが、重要だという考え方に変わってきたそうです。
 以上から、低血糖に留意して、そのためにも、ヘモグロビンA1ctとともに、血糖値の変動幅を少なくすることが重要だそうです。
糖尿病の患者さんは、たくさんいます。皆さんも頭の片隅に入れておいてください。

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