同居家族の介護ストレスを考える 後編

同居家族の介護ストレスを考える 後編

父の不穏とデイの恩情

前編では父の体調悪化と、それに伴って認知機能の低下が始まったことをお伝えしましたが、今回はその続きのお話になります。
今年の夏、父の弟が亡くなりました。その葬儀についての連絡が親戚から父に行きましたが、父が詳細を覚えることができず、兄に情報が正確に伝わらなかったという出来事がありました。
私はコロナ禍のため葬儀への参列は遠慮して、弔電と香典のみという打ち合わせをしていましたが、そのことも兄には伝わっていませんでした。
「どうなってるんだ?」と兄から電話があって誤解は解けたのですが、その分の怒りが父に向いてしまったようでした。親子の間で激しい口論があったと義姉から聞きました。
その後しばらく父が不穏な状態になり、利用日でもないのにデイに徒歩で行ったり、意味不明な言動があったりしたようです。
デイでは、短い時間ですがお茶を飲んで過ごし、キリの良いところで自宅まで送ってくれたそうでした。
弟の急逝で一時的に混乱したのだろうと、理解と恩情のある対応をしてくれたデイには感謝しかありません。それと同時に、父が困った時に駆け込むのは兄ではなくてデイなんだということを、強く思い知らされた出来事でもありました。

リモート家族会議

兄と話し合いの場を持つ必要があると強く思った私は、リモートで家族会議をしないか?と兄に提案をしました。どうせならとケアマネさんにも同席してもらいました。
議題は兄の介護負担の軽減です。現状は私は遠方で、実際の介護負担は全て兄にのしかかっています。私としては通院や服薬管理などで人に頼めるところは頼んでほしいが、金銭的負担の関係もあるのでそこは判断してほしいと兄に話しました。
兄は父の病状の把握はしておきたいので、通院は全て自分が付き添いたいと言っていました。ただ薬をもらうだけであれば、その時はヘルパーに同行でも良いかもしれないと妥協をしてくれたので少し安心でした。
そして配薬や服薬確認は、訪問看護とデイ送迎時にも協力してもらって、薬局にも関わってもらうようにケアマネに依頼しました。時にはショートステイの利用も検討してもらっています。
そして一番肝心なところ、父はやはり認知症の兆候があると思うので、それに関して治療する意向はあるか確認しました。もちろん私は在宅認知症ケアが専門ではありますが、主介護者の兄の意向を尊重することを伝えています。
兄は、父には可能な限り家で過ごさせてあげたい、ただでさえ糖尿病と心臓で大量の薬を飲んでいるので、これ以上の薬は増やさない方が良いのではないかと思っている、と話してくれました。
兄がそう言うのであれば、それに対してバックアップはすると約束しました。不穏時の対応は専門ですので、いつでも電話で対応するので、なるべく怒鳴りつけることは避けてもらうようにお願いしました。
そして父自身の状態が安定しているのであれば、父にも家事の一部をお願いするべきと主張しました。家の中で簡単に出来ることで良いから、全てを取り上げるのではなく参加してもらってほしいと。そこは兄も承知してくれました。

主介護者を尊重すること

仕事柄いろいろなケースを目にしていますが、私が一番避けたかったのは「遠方にいて金は出さない、手は出さないのに口だけ出す娘」になってしまうことでした。
兄のためにとアドバイスをすることが、かえって兄を追い詰めたりすることを避けたかったのです。
ですから一番気を付けたのは、兄の意向を尊重した上で自分の意見を話して、選択は兄にしてもらうことでした。その選択に対しては否定せずに全面的に協力することを約束して、兄の心理的負担を少しでも軽くする方向で話すことを心がけました。
ケアマネさんやデイ相談員とのコミュニケーションも大事だったと思います。親子関係は過去の積み重ねであることが多いので、なぜ兄が父を強く叱責するのかその背景をケアマネさんに伝えたことも大きかったと思います。またデイ相談員も、尿臭に対して細かく対応をしてくれました。
自分が直接手を出せない分、関係する事業所と細かくコミュニケーションを取り意向を汲み取ってもらうというのは、遠距離介護の最大のポイントだと思います。

最後に

前後編にわたって我が家の場合をお伝えしましたが、父本人の「家で暮らしたい」という希望を叶えるために、兄が非常に大きな負担を抱えています。それに対して心理的な負担感の軽減を、共感や理解、支援という形ではかっています。
現在進行形で介護は続いています。また状況は変化することがあるかもしれません。その際にはまたこの場を借りてご報告できると良いと思っています。

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