素晴らしい人生

素晴らしい人生

素敵な女性に出会いました

出会ったときのお年は80歳。私より20歳も上でした。たまたま、私が彼女の家の前に越してきて、引っ越しのご挨拶に伺ったのがきっかけで『最後のお友達』と言ってくださった。

今思えば、もっと近くによることもできたかも知れなかったのに残念でなりません。

彼女は自宅で、静かに天に召されました。その様子は彼女が生前、おそらく最後に色鉛筆で描いただろう、少女が描いた様な天に昇る絵と、バイバイと言葉が添えてありました。

彼女は自由な心と気持ちを持ち続けるように、努力した人だと感じました。

300坪の屋敷に夫婦と娘家族とともに、くらしていました。

木戸を押し開けると、まるで異次元のドアを押し開けたような、色も匂いも、風も、まったくその辺りの風景とは違いました。

門から1番奥が母家、あと二軒ほど、木造の平家が建っていました。
足元は野原、といえば聞こえはいいですが、膝まであるような草むら。

一歩表に出れば、高層マンションが見下ろしています。

私の気配を察して、草の中から老婦人がヒョイと顔を出しました。

素足にゴムぞうり

立ち上がるといきなり自分を指差して『さつき』と名乗ってきたので、私は挨拶が一歩遅れてしまいました。

引っ越してきたことを告げて、タオルを手渡すと『よし、偉い偉い、合格』と言い、多分かつては庭石だった苔むした石に腰を下ろしました。『あんたは、汚れちゃダメな服かな?』

私はとても興味深い隣人に嬉しくなって、横に並んで座ったの。

すごく博識で、庭の草の名前が自然に沢山出てきます。鳥が鳴けば、今日はつぐみの帰りが早いと見上げ、あけびが食べごろだと指を指す。

しばらく2人で、山菜の料理方法の話に花がさいた。はて、私は初対面の人とはあまり話しができないたちだ。まさか引っ越しの挨拶に2時間もかかるなんて。

立ち上がりかけると、軒下の座り心地が良さそうな椅子に品のいい老人がいた。
「あれは、私の夫、もう少し惚けちゃったから、とりあえず顔を合わせたら笑顔を向けてね」

私はその素敵なおじいさまも、むかしから知り合いのような気がして手を振った。 

「あなた、良かったわね。挨拶が交わせる人が越してきたよ」

終活を教えていただいた

すると、旦那様も笑顔で手を振ってくれました。

私はさつきさんがご自身の病気を知ってから、しっかり受け止めて、素敵にバイバイと天に昇るまでの2年間の交流が、宝物です。

皆さんにもおすそわけしたいので、あと二回このタイトル「素晴らしい人生」のブログを書いてゆきます。

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