SUPボード川下り (後編)

SUPボード川下り (後編)

修善寺へ

SUPボードで川を下る。

横浜 海の公園でのテストを順調に終え、帰路につく。しかしやはり、駅から自宅までが遠い。自宅は高台にあり、山を歩荷しているような感覚になる。この時ばかりは、駅近の物件もよかったかな、と思う。

天気予報で晴れの週末を見て、いざ出発。駅までの歩きも、3回目になると少し慣れてくる。修善寺駅まで乗り換えが3回あるが、駅歩20分の距離に比べると、たいしたことはない。

修善寺駅で遅めの朝食を摂る。SUPボードは、カロリーの消費が多いそうだ。1時間あたり、サイクリングが480Kcal、ジョギングが650Kcalに対して、カジュアルなSUPが310~430Kcal、SUPツーリングが620~710Kcalである。サイクリングからジョギング並みということだ。それを何時間か継続するということ。

この日はミックスサンドとおにぎり2個、いつもよりおにぎり1個余分に食べておく。後で計算すると、これで700Kcal。どうりで後でお腹が空いたわけだ。ダイエットには向いているかもしれない。

修善寺橋から川の様子を見る。上流を見ると、白瀬が立っている。あの瀬の中を、SUPボードで無事に乗り越えられるのだろうか。

川沿いの小径に入り、少し下ったところで土手を降りる。ポンプでインフレータブルSUPに空気を入れ、水着に着替えてライフジャケットを羽織る。荷物をパッキングして、いよいよ出発だ。

白瀬と

SUPボードを川面に降ろし、そっと上に乗る。正座の状態でカヌーのように漕ぎ出し、舳先を川の流れに向ける。川の流れに乗ったところで、膝立ち、そして2本の足で立ち上がる。大丈夫。

足の裏に、川面のゆれを感じながら進む。しばらく進むと、水面が白く光っている。瀬だ。緊張感をもちながらまっすぐ進入する。と突然、板が止まり、身体が前に投げ出される。

水中でボードにつかまり、板の上に立ち上がる。すると再び、足払いをくらったかのように、つんのめる。どうも、板の底が瀬の下の岩と接触して、板が急減速しているようだ。シートベルトをしないで急ブレーキを踏まれたような状態だ。

白瀬があるということは、流れが速いということだが、それはそこの水深が浅くなっている影響でもある。庭にホースで水を撒く際に、ホースを狭くつぶすと、水が勢いよく流れ出るのと同じ現象だ。瀬があるところは、水流が狭くなっているのだ。

SUPボードの上ではシートベルトはない。どうしたものかと思案し、座って漕ぐことにしてみる。やはり、板底が岩と擦る。ただし、座布団一枚抜き取られたくらいの衝撃で済む。ダルマ落としのダルマのような状態とも言える。これで行こう。

再び、白瀬が現れる。座っているから大丈夫。。。しかし今度は、板が動かなくなってしまった。岩が水面近くまで隠れていて、完全に乗り上げてしまったようだ。岩をパドルで突き返して、反作用でボードを動かそうとしても、動かない。ボードの上から足で岩を踏み返しても、動かない。仕方がない、ボードから水中に降りて、動かそうとする。

すると、足を外に踏み出した瞬間、ボードが動き、今度は岩とボードに足をはさまれてしまった。ボードを押し返そうとするが、水流の勢いが強くて、びくともしない。冷静になるよう努めながら、少しずつじわりじわりと板をずらしていく。何回か繰り返して、やがて、するりと板が動く。再び、板に乗る。身体を外に出す際は、流れの上流側に出す必要がある。

白瀬をいくつか越えると、やがて穏やかな流れに落ち着く。2本足で立ち上がり、のんびり下っていると、左の川岸に茶色い動くものが見える。犬かと思って近づいてみると、小鹿。川の水を飲んでいたようだ。

向こうもこちらに気付いたようだが、逃げ出さない。水の上だと、警戒されないのだろうか。ゆっくりと静かに漕ぎ、近付いてみる。5mの距離まで近付いても、まだ逃げ出さない。相手を緊張させないようにと、ふと視線をそらした瞬間、身を翻す。葦の林の中に消えていった。

韮山の夜

しばらく下り、今日のキャンプサイト、守山西公園に着く。河原にSUPボードを引き揚げる。テントは張らず、インフレータブルのSUPボードをマットにして、寝袋一つで寝る形だ。土手の上の道路からは、人目につかないことを確認する。

まだ日は明るい。ここは韮山。世界遺産のあるところだ。韮山の反射炉を見に行く。パン祖のパンなるものが売っている。一つ買って食べてみたが、硬い。歯が立たないとはこのことだ。聞けば、江戸時代には湯茶に浸しながら食べていたそうだ。それは最初に言ってほしい。今世の中にあるパンというものが、いかにおいしいものか、それが分かる。

反射炉を後に、日帰り温泉へ向かう。入ったのはあやめ湯。昔ながらの共同浴場といった趣だ。300円とは今時めずらしい。湯の温度が熱いのが特徴的。

湯上りに一杯ひっかけてから、今日の宿へ戻る。湯を沸かし、コーヒーを淹れる。暗く、静かな、ぜいたくな時間が流れる。

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